常用漢字表

・昭和五六年一〇月一日内閣告示第一号。
・内容は、「新漢字表試案」(昭和五二年一月二一日国語審議会報告)及び「常用漢字表案」(昭科五四年三月三〇日中間答申)に対する各方面からの意見を含めて国語審議会で検討し、昭和五六年三月二三日に文部大臣に答申したものによっている。
・原文は横書き。
・この告示により、内閣告示「当用漢字表」(昭和二一年一一月一六日付)「当用漢字音訓表」(昭和四八年六月一八日付)「当用漢字字体表」(昭和二四年四月二八日付)は廃止された。これらとの相違点については一〇〇ページを参照されたい。(三省堂編修所注)

         前書き


 1 この表は、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものである。

2 この表は、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。

3 この表は、固有名詞を対象とするものではない。

4 この表は、過去の著作や文書における漢字使用を否定するものではない。

5 この表の運用に当たっては、個々の事情に応じて適切な考慮を加える余地のあるものである。

表の見方及び使い方
1 この表は、「本表」及び「付表」から成る。

2 「本表」には、字種一九四五字を掲げ、字体、音訓、語例等を併せ示した。

3 漢字欄には、字種と字体を示した。字種は字音によって五十音順に並べた。同音の場合はおおむね字画の少ないものを先にした。字音を取り上げていないものは字訓によった。

4 字体は文字の骨組みであるが、便宜上、明朝体活字のうちの一種を例に用いて現代の通用字体を示した(「(付)字体についての解説」参照)。

5 括弧に入れて添えたものは、いわゆる康煕字典体の活字である。これは明治以来行われてきた活字の字体とのつながりを示すために添えたものであるが、著しい差異のないものは省いた。

6 音訓欄には、音訓を示した。字音は片仮名で、字訓は平仮名で示した。一字下げで示した音訓は、特別なもの又は用法のごく狭いものである。

7 派生の関係にあって同じ漢字を使用する習慣のある次のような類は、適宜、音訓欄又は例欄に主なものを示した。




    現代仮名遣い

・昭和六一年七月一日内閣告示第一号。
・この告示により、内閣告示「現代かなつかい」(昭和二一年一一月一六日付)は廃止された。
・旧「現代かなつかい」は「大体、現代語音にもとづいて、現代語をかなで書きあらわす場合の準則を示したもの」であるが、新「現代仮名遣い」の性格は「前書き1・2」以下のとおりである。ただし、両者の内容はほとんど変わらない。
・旧「現代かなつかい」のきまりは、仮名の表四表・細則三三項目・備考一〇項目などで示されている。新「現代仮名遣い」は、原則五項目(第1)・特例六項目(第2)・付記一項目などで示されている。
・原文は横書き。(三省堂編修所注)

前書き
1 この仮名遣いは、語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とし、一方、表記の慣習を尊重して一定の特例を設けるものである。

2 この仮名遣いは、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを示すものである。

3 この仮名遣いは、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。

4 この仮名遣いは、主として現代文のうち口語体のものに適用する。原文の仮名遣いによる必要のあるもの、固有名詞などでこれによりがたいものは除く。

5 この仮名遣いは、擬声・擬態的描写や嘆声、特殊な方言音、外来語・外来音などの書き表し方を対象とするものではない。

6 この仮名遣いは、「ホオ・ホホ(頬ご「テキカク・テッカク(的確)」のような発音にゆれのある語について、その発音をどちらかに決めようとするものではない。

7 この仮名遣いは、点字、ローマ字などを用いて国語を書き表す場合のきまりとは必ずしも対応するものではない。

8 歴史的仮名遣いは、明治以降、「現代かなつかい」(昭和二一年内閣告示第三三号)の行われる以前には、社会一般の基準として行われていたものであり、今日においても、歴史的仮名遣いで書かれた文献などを読む機会は多い。歴史的仮名遣いが、我が国の歴史や文化に深いかかわりをもつものとして、尊重されるべきことは言うまでもない。また、この仮名遣いにも歴史的仮名遣いを受け継いでいるところがあり、この仮名遣いの理解を深める上で、歴史的仮名遣いを知ることは有用である。付表において、この仮名遣いと歴史的仮名遣いとの対照を示すのはそのためである。

本文



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