『國立國語研究所の設置』(その七の16)

    昭和二十三年十二月二十日、國立國語研究所が設置され、所長に西尾實が任命された。その設置法第一條には「國語及び國民の言語生活に關する科學的調査研究を行い、あわせて國語の合理化の確實な基礎を築くために、國立國語研究所を設置する」「研究所は、文部大臣の所轄とする。文部大臣は、人事及び豫算に關する事項に係るものを除くほか研究所の監督をしてはならない」とあり、第二條「研究所は、次の調査研究を行う」として「現代の言語生活及び言語文化に關する調査研究」「國語の歴史的發達に關する調査研究」「國語教育の目的、方法及び結果に關する調査研究」「新聞における言語、放送における言語等、同時に多人數が對象となる言語に關する調査研究」の四項目を擧げ、「前項の調査研究に基き、次の事業を行う」として「國語政策の立案上參考となる資料の作成」「國語研究資料の集成、保有及びその公表」「現代語辭典、方言辭典、歴史的國語辭典、その他研究成果の編集及び刊行」の三項目を擧げてゐる。また研究所に評議員會が置かれ「研究所の毎年の事業計畫、調査研究の委託その他重要事項について審議し、所長に助言する」「所長は、前項の重要事項については、評議員會の助言を求めなければならない」と規定されてゐる。

  その後、研究所は毎年『國立國語研究所年報』『國語年鑑』を刊行すると共に、『明治初期の新聞の用語』『語彙調査』『送り假名法資料集』など、數多くの研究調査を公にしてゐる。

  また昭和二十年七月に廢止された國語課が二十二年四月に復活し、釘本久春が課長に就任した。五月に改正された分課規程によると、「國語課ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル」として「國語ノ調査研究及ビ整理統一ニ關スルコト」「國語審議會ニ關スルコト」「ローマ字ノ調査ニ關スルコト」「ローマ字ニ關スル教科用圖書ノ編修ニ關スルコト」「國語ノ研究團體ニ關スルコト」の五項目が擧げられてゐる。二十四年三月に國語課より『國語調査沿革資料』が、次いで『國語審議會の記録』一册、『國語審議會報告書』四册が刊行されてゐるが、いづれも審議會關係の資料として缺くことの出來ないものである。

 


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