「國字改良部」の調査   (四の17)

  既に述べたやうに帝國教育會の「國語改良部」は四つの調査部を設けて調査を行つてきたが、三十三年五月、新字調査部は十數種の新字について檢討した結果、速記文字が最も優れてゐるといふ結論に達した。その際、小島一騰の十三ケ條から成る「日本文字ノ資格」について檢討し、それを多少修正して「新字大體の標準」として「日本語の發音を寫し得る事」「速く書き得る事」「讀み安き事」「覺え易き事」「大小自在に書き得る事」「印刷に便利である事」「タイプライターに擲する事」「字體の美しい事」「短く記し得る事」「字體一種なるべき事」といふ十ケ條を定めてゐる。また漢字節減部が決定した「漢字節減の標準」は五項目より成つてゐるが、その一は「假名でわかる言葉には漢字を用ひぬこと」として、「わが國音の動詞、形容詞、助動詞、副詞、感嘆詞、後置詞、等」「固有名刺、義經、辨慶、富士、淺間、倫敦、巴里、牛津、等」及び洋燈(ランプ)、百足(ムカデ)などの例を擧げ、その五は「略字のあるものはすべて略字を用ひること」となつてゐる。

 


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